掌蹠膿疱症と似ている疾患はありますか?
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掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の鑑別診断(注意深く見分ける必要がある疾患)として、次のような病気があります。
異汗性湿疹[汗疱(かんぽう)]
春から夏に、手足の指、手のひら、足のうらにかゆみを伴う水疱が多発し、膿疱があらわれることもあります。原因は不明ですが、湿疹の一型と考えられており、温暖な季節、ストレスや自律神経のバランス、多汗症などが背景にあり、アトピー素因、金属アレルギーなどの関連も論じられています。感染症ではないため人にうつりません。
白癬(はくせん)
皮膚糸状菌というカビ(真菌)によって起こる感染症のひとつで、手足の白癬は、水疱や皮膚がぽろぽろとはがれ落ちたり[落屑(らくせつ)]、かゆみを伴う赤みなどがみられます。角層をとって顕微鏡でみることで診断がつきます。
掌蹠(しょうせき)の尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
尋常性乾癬は、乾癬の代表的な病型で、境界がはっきりした赤み(紅斑)が厚み(浸潤)や角質(落屑)を伴ってみられます。膿疱は伴いません。
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
乾癬の病型のひとつで、高熱が出て全身の皮膚が赤くなり(紅斑)、無菌性の膿疱が多発する汎発性のほか、四肢に局限するタイプもあります。掌蹠膿疱症では水疱と膿疱が混在しますが、膿疱性乾癬でははじめから膿疱であり水疱は伴いません。
接触皮膚炎
外からの物質の刺激またはアレルギー反応により生じる湿疹(皮膚の炎症)で、いわゆる「かぶれ」です。原因物質には、金属、植物、医薬品、化粧品、染毛剤などがあります。
稽留性肢端皮膚炎(けいりゅうせいしたんひふえん)
手足の爪とその周囲を中心にうみ(膿疱)がみられる一型で、細菌やウイルスなどの感染はなく、手のひらや足の裏にも症状が及ぶことがあります。
好酸球性膿疱性毛包炎(こうさんきゅうせいのうほうせいもうほうえん)
顔面などの毛包(もうほう)を中心に、好酸球が引き起こす膿疱が多発し、強いかゆみを伴う病気です。好酸球とは白血球の一種で、通常はアレルギー反応などにかかわっていますが、膿疱の中はたくさんの好酸球が存在しています。掌蹠膿疱症と見た目が似ている症状なので、鑑別のために皮膚生検が行われます。
その他
その他にも、まれですが、皮膚のリンパ腫や梅毒も手のひらや足の裏だけに見られることがあり、皮膚生検が必要になることがあります。