掌蹠膿疱症の合併症とは?
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掌蹠膿疱症性骨関節炎
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)患者さんの10〜30%に骨関節炎を合併し、関節痛を引き起こします。
掌蹠膿疱症患者さんの10~30%1)に骨関節炎を合併することが報告されており、関節痛を引き起こします。体の様々な関節で起こりますが、最も多くみられるのは胸骨と鎖骨をつなぐ関節[胸肋鎖関節(きょうろくさかんせつ)]、胸骨同士をつなぐ関節(胸骨結合)で、そのほか首(脊椎)や腰[仙腸(せんちょう)関節]、手足などの関節でもみられます。
炎症が起きた関節がはれたり、頑固な痛みが続いたりします。胸肋鎖関節炎では、咳やくしゃみをすると響く、寝返りを打てないといった症状がみられます。脊椎炎や仙腸関節炎では朝方痛むなどの特徴があります。患者さんによっては関節の症状が皮膚の症状(水疱や膿疱など)よりも先にあらわれることがあります。また、皮膚の症状が良くなっても、関節の痛みは残ることがあります。
掌蹠膿疱症性骨関節炎に対しては、皮膚症状に対する治療とは別の治療が必要になりますので、気になる関節痛があれば、皮膚科医にも伝えるようにしましょう。
また、関節の痛みで整形外科等にかかっている場合も、掌蹠膿疱症にかかっていることを伝えましょう。
1) 日本皮膚科学会掌蹠膿疱症診療の手引き策定委員会:掌蹠膿疱症診療の手引き2022. 日皮会誌, 132: 2055, 2022 ©日本皮膚科学会 2022
その他の合併症
その他、次のような合併症があらわれることがあります。
下痢や便秘、脂質異常症、糖尿病、高血圧などが合併することもあります2)。また、頻度は高くありませんが、甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)2,3)、アナフィラクトイド紫斑病※という病気を合併することもあります4)。気になる症状がある場合は主治医に相談しましょう。
※ アナフィラクトイド紫斑病(別名:ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、IgA血管炎)
体の免疫にかかわる「IgA」という抗体(タンパク質)が関与して起こるといわれています。下肢の皮膚に赤色や紫色の点状出血斑があらわれるほか、腸炎症状(腹痛や下痢)、関節症状(関節痛)、腎炎(血尿など)といった様々な症状がみられます。
2) 橋本喜夫ほか.: 臨皮., 60: 633, 2006
3) Hiraiwa, T., et al.: Int. J. Dermatol., 57: e40, 2018
4) 室繭子.: Visual Dermatology., 11: 1024, 2012