乾癬の症状と向き合うには?1)〜4)
乾癬の治療は、患者さんの生活において乾癬が与える影響を減らすことを目的に行われますが、日常生活において患者さん自身が乾癬の症状を和らげるための工夫ができる点もあります。普段の生活で乾癬とうまく付き合うには、どのような場合に症状が出やすいかを身近な方々も含めてあらかじめ知っておくことや、それを主治医に積極的に相談することが重要です。
乾癬の原因から考える対処法
乾癬の原因は明らかにはされていないものの、免疫に異常をきたしやすい体質の人に、さまざまな要因が加わることによって発症すると考えられています(乾癬の原因についての項参照)。自分の症状があらわれるきっかけとなっているのはどんな要因なのか、それを避けるためにはどのようなことに気を配るとよいのか、生活習慣を振り返って考えてみましょう。
1. 風邪、扁桃炎などの感染症
風邪や扁桃炎などの感染症が原因で乾癬が発症することや、症状が悪化してしまうことがあります。
そのため、日頃からこまめな手洗いやうがい、そして十分な睡眠をとるように留意し、感染症にかからないように注意しましょう。風邪などの疑いがある場合は受診・治療をして症状を改善しましょう。
2. ほかの病気の治療で用いられている薬剤
患者さんの体質によっては、高血圧の治療薬など一部の薬剤を服用することで乾癬の症状が出てしまう場合もあるようです5)。
もし、お薬の服用を始めてから乾癬の症状がみられたと感じる方は、自己判断によるお薬の中断はせず、その旨を主治医に相談してください。
3. 日常的なストレス
ストレスがさまざまな疾患に影響するということが知られており、乾癬もその中の一つです。ストレスをなくすことは難しいですが、趣味を楽しむ時間を作ったり、散歩やスポーツなどの適度な運動をしたりすることによりストレスをうまく解消するような工夫をしてみましょう。
日光浴は気持ちを穏やかにし、乾癬の症状を和らげることも知られていますので、日焼けのし過ぎには注意しつつ、散歩や屋外でのレジャーを楽しむのもおすすめです。ストレスをうまく避けて、ためないような生活を心がけたいですね。
4. 熱いお風呂や刺激の強い洗い方
お風呂の入り方も乾癬の症状に影響を与えます。熱めのお風呂や長時間の入浴によってかゆみが増すと感じる方も多いようです。そのため、できるだけぬるめの温度に調節するようにしましょう。また、お風呂での体の洗い方も注意しましょう。特定の部位をこすってしまうようなゴシゴシ洗いは症状を悪化させる原因の一つです。そのような洗い方は、症状のない部分であっても強くこすると皮疹ができてしまう「ケブネル現象※」を引き起こしてしまうこともあります。せっけんをよく泡立ててやさしく洗うようにしましょう。
5.肌に刺激のある服装や生地
身に着ける服の生地やサイズによっても乾癬の症状に影響を与えてしまうことがあります。衣服のこすれにより症状が悪化することがあるので、ゆったりと余裕を持ったサイズの服装を心がけましょう。また、化学繊維やウールなど皮膚刺激性のある生地は避け、綿など肌に刺激が少ない生地のものを選ぶようにしましょう。
肌に触れる枕カバーやシーツの素材に関しても気を配ってみるとよいでしょう。
また、乾癬では皮疹のない部位に刺激が加わると、そこに新たな皮疹が生じる「ケブネル現象※」が起こることがあります。皮疹を拡大させないためにも、かきむしったり皮膚に刺激を与えることを避ける工夫をしましょう。
6. メタボリックシンドローム
乾癬は、脂質異常症(高脂血症)や高血圧、肥満をはじめとするメタボリックシンドロームと関連があるといわれています(乾癬で気をつけるべき合併症はある?の項参照)。肥満は乾癬や乾癬性関節炎の発症リスクを高めるおそれがあります。さらに、肥満は発症に加えて乾癬の重症度とも関係があるといわれています。乾癬の症状を改善するためにも、健康的な食事や運動でダイエットを心がけましょう。また、メタボリックシンドロームの早期発見、早期治療を行なうため、毎年の健康診断をきちんと受けることも大切です。
よりよい治療のために、積極的な主治医への相談を行いましょう
症状の悩みは、主治医に積極的に相談するようにしましょう。主治医との良好な関係を築くことは、よりよい治療のためにも大切なことです。ライフスタイルに合った治療方法をしっかり相談し理解を得ることは、患者さん自身のストレス軽減にもつながるでしょう3)。
今、乾癬の症状が自身の生活スタイルにどのような影響が出ているかは、乾癬による影響チェックでチェックできます。このサイトでは、治療歴や生活習慣、そして日常生活で困っていることなど、簡単なチェック項目を入れていくだけで乾癬による影響を把握できます。この結果は主治医と治療方針を話し合う上でも有用な情報です。受診時にこの結果をプリントアウトして持参いただくと、短い診療時間でも症状の悩みが伝わりやすくなるかもしれません。ぜひご活用ください。
参考
- 1) 多田弥生:日本臨牀76:151, 2018
- 2) 公益社団法人日本皮膚科学会皮膚科Q&A乾癬Q3乾癬の原因は何ですか?
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q03.html)(2024年3月9日アクセス) - 3) 公益社団法人日本皮膚科学会皮膚科Q&A乾癬Q5どんな時に発疹が出やすいですか?
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q05.html)(2024年3月9日アクセス) - 4) 公益社団法人日本皮膚科学会皮膚科Q&A乾癬Q12日常生活上の注意は何ですか?
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q12.html)(2024年3月9日アクセス) - 5) 内田敬久他:日本皮膚科学会雑誌126:295, 2016
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