つまり、現在考えられている仮説では、乾癬で皮膚の新陳代謝が異常に活発になるのは、免疫機能の異常が原因であり、乾癬は、皮膚の病気であると同時に、身体全体が関与する病気だとも考えられています。
深く知る乾癬のメカニズム
乾癬の患部では皮膚の表面に角質が積み重なることで、皮膚が厚くなっています。
これは、皮膚の新陳代謝が異常に活発になり、通常の約10倍の速さで皮膚が作られるためです。
なぜこのようなことが起こるのか、その仕組みはまだ完全には解明されていませんが、最近の研究では、免疫機能が関わっていると言われています。
免疫機能とは、本来は体を守るための機能です。
ここでは、乾癬の症状が起こるメカニズムについて現在考えられている仮説をイメージ動画でご紹介します。
最初に何らかの原因により、マクロファージと呼ばれる免疫に関わる細胞が活性化します。
なぜ乾癬でマクロファージが活性化するのかは、分かっていませんが、感染症や怪我、ストレスなどの環境が影響しているのではないかと考えられています。
- 活性化したマクロファージは別の細胞に指令を出します。この指令を伝える物質をサイトカインと言います。
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マクロファージからの指令を受けるのは、樹状細胞と呼ばれる細胞です。
マクロファージからの指令を受けた樹状細胞は、さらに指令、つまりサイトカインを出します。
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今回の指令の受け手は、 T 細胞です。
乾癬では、指令を受けた T 細胞は、 TH 1細胞はやTH 17細胞という、炎症反応に関わる T 細胞に変化すると考えられています。 -
これらの Th細胞もサイトカインを出し、最終的に皮膚の下で炎症を起こしたり、角質細胞を増殖させます。
乾癬の症状はこのように引き起こされると考えられています。
さらに、増殖した角質細胞からもサイトカインが出され、それが樹状細胞に働きかけることにより、この一連の試練が繰り返され、乾癬の症状が続いてしまうのです。